The unfolded protein response
Abstract
小胞体は、細胞の細胞質全体に広がり、核膜と連続する膜性迷路ネットワークからなる細胞内オルガネラである。 すべての真核細胞において、小胞体は、細胞外空間、細胞膜、外細胞/内細胞コンパートメントに送られるタンパク質のフォールディングとアセンブリが行われる場所である。 小胞体は、恒常性の変化に対して極めて敏感であり、正しくフォールディングされたタンパク質のみがゴルジ体へ移行し、アンフォールドあるいはミスフォールドしたタンパク質は保持され、最終的には分解されるように、厳格な品質管理システムを備えている。 カルシウムの恒常性や酸化還元状態の乱れ、分泌タンパク質合成の上昇、ミスフォールドタンパクの発現、糖/グルコース欠乏、グリコシル化の変化、コレステロールの過剰摂取など、多くの生化学的・生理的刺激がERの恒常性を乱し、ストレスを与えて、その結果ER内腔にアンフォールドあるいはミスフォールドしたタンパク質が蓄積されることがある。 ERは、アンフォールドタンパク質やミスフォールドタンパク質の蓄積に対処するために、アンフォールドタンパク質応答(UPR)と呼ばれる非常に特異的なシグナル伝達経路を進化させた。 近年、小胞体ストレスシグナルのメカニズムが解明され、UPRによって制御される多様な細胞および生理的過程について、大きな新しい知見が得られている。 本総説では、UPRシグナルの複雑な制御と、ヒトの生理・疾患との関連について概説する
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