Role of magnetic resonance imaging in clinical diagnosis of temporomandibular joint
顎関節の異常は臨床検査では信頼性の高い評価はできない。 磁気共鳴画像(MRI)は、他の画像診断法では見られない関節の異常を描出することがあり、顎関節の状態を診断的に評価するのに最適な方法である。 画像診断のために紹介された顎関節症患者において、顎関節の主な所見は椎間板変位に関連した内部障害である。 この所見は無症状のボランティアよりも有意に多く、連続して顎関節の画像診断を受けた患者の80%に見られるものである。 さらに、ある種の椎間板変位は、口を開けても減らない完全な椎間板変位であり、顎関節症患者にほぼ限定して起こるようである。 また、関節液の貯留(無症状のボランティアに見られる以上の貯留)や下顎骨の骨髄異常(ボランティアには見られない)など、他の関節内異常も椎間板変位と関連している可能性がある。 これらの疾患は密接に関連しているようだ。 顎関節症の患者のうち、連続して顎関節のMRI検査を受けた患者の15%近くが関節液を認め、そのうち約30%が骨髄の異常を示すといわれている。 組織学的に骨髄の異常が証明された関節を手術で選択した場合、40%近くに関節液の貯留が見られた。 椎間板変位はほとんどが両側性であるが、関節液貯留は片側性であるか、対側の関節の液量が少ないようである。 骨髄の異常もほとんどが片側性である。 多くの患者は片側の痛み、あるいは片側により多くの痛みを持つ。 回帰分析では、自己申告の顎関節痛の左右差は、顎関節液貯留と顆頭骨髄の異常に正の相関があり、皮質骨の異常に負の相関があった。 滲出液のある関節のうち、変形性関節症を示す関節は4分の1に過ぎなかった。 したがって、顎関節症患者の中には、椎間板変位のみよりも重度の関節内病変を示すサブグループが存在するようであり、そのほとんどは変形性関節症を伴わない。 しかし、顎関節液貯留や下顎骨骨髄の異常が認められる患者は、顎関節画像診断の対象となった顎関節症患者のごく一部(4分の1以下)であることを強調しておく。 患者の大半は、椎間板の変位に関連した内部障害を有しているが、関節の異常は伴っていない。 関節リウマチやその他の関節炎患者では、顎関節症はより一般的な顎関節症に類似している場合がある。 MRIを用いれば、ほとんどの場合、滑膜増殖のない患者との区別が可能である。