Medieval manuscripts blog
ユニコーンの角は何本? イギリスのテレビ番組「QI」を見ていると、このようなトリックのある質問に出くわすことがあります。 1本だ、みんな知ってるよ、という声が聞こえてきそうです。 ユニコーンには角が1本しかない(ヒントは名前にある)。 私もそう思っていたのですが、どうやら騙されたようです。 ユニコーンには2本の角があることがあるんだ。 そうなんです、そうなんです。
獅子のようなユニコーン。 British Library Burney MS 97, f. 18r
大英図書館の新しい展覧会『ハリー・ポッター』の展示品を選ぶ際に、悪名高い二角のユニコーンを初めて目にした。 ハリー・ポッター展」(#BLHarryPotter)の展示品を選んだときです。 展示されている下図の版本には、5種類のユニコーンが登場する図が描かれています。 1694年にパリで出版されたもので、フランスの薬剤師、ピエール・ポメットの作品です。 毎日、新しい発見をしているのだなあと思うとともに、これほど多くの種類のユニコーンが確認されていることに驚きを覚え、左下の獣に目が釘付けになる。 明らかに一対の角がある。
17世紀の版画本の1ページで、5種のユニコーンのイラストがある。 British Library 37.h.7., part 2, p. 9
よくよく調べてみると、問題の謎のユニコーンはピラソイピと呼ばれていることが分かった。 バイコーンと呼んで差し支えないかもしれない。 さらに掘り下げると、ラバのように大きく、熊のように毛むくじゃらであるとも言われている。 しかし、この後、話はややこしい方向に進む。 ポメットは、ユニコーンの角が「主に毒に効くとされているため、よく使われていた」と記している。 つまり、ユニコーンはその体の一部が評価されていたのである。 1582年に出版されたアンブロワーズ・パレによるユニコーンの研究書から引用した下の画像は、ピラソイピの殺害と皮を剥ぐ様子が背景に描かれており、かなり残酷なものである。 パレはフランス王室の外科医で、不思議な現象に強い関心を持っていた(彼の本にはミイラや毒の章もある)。
16世紀の版本に描かれたイタリアの一角獣のイラストの詳細。 Asçavoir, de la mumie, de la licorne, des venins, et de la peste (Paris, 1582)に収録されている。 British Library 461.b.11.(1.), f. 27r
さて、冒頭で紹介した珍しいユニコーンをもう一度見ておきましょう。 16世紀のギリシャの写本に、マヌエル・フィレスの「動物の性質について」という詩が添えられているのです。 この詩によると、ユニコーンはイノシシの尾とライオンの口を持ち、危険な噛み跡を持つ野獣であった。
猪の尾と獅子の口を持つユニコーン。 Burney MS 97, f. 18r
この写本に描かれている獣は、ユニコーンだけではない。 サギやペリカン、オオカミやヤマアラシ、さらにはイカまで描かれている。 中でも私のお気に入りは、人間の腕が伸びきって前足になったケンタウロスの絵である。 この写本の筆者は、フランスに住んでいたキプロス人のアンゲロス・ヴェルゲキオスで、挿絵画家は彼の娘だと言われている。 ここでは、その中から食欲をそそる画像をご紹介します。 (数年前、スタブロス・ニアルコス財団の寛大なご好意により、大英図書館の全ギリシャ語写本のデジタル化を完了しました。写本の全貌はDigitised Manuscriptsのサイトで見ることができます)。 ぜひご覧いただき、あなたのお気に入りを教えてください(Twitterまたは下記のコメントフォームをご利用ください)。
16世紀のギリシャ写本の1ページ、サギのイラスト。 4r
Owls: Burney MS 97, f. 10r
A lioness.を望むページ。 Burney MS 97, f. 16v
A centaur: Burney MS 97, f. 19v
A porcupine: Burney MS 97, f. 26v
16世紀ギリシャ写本の1ページ、様々な海の生物のイラスト。 メカジキ、イッカク、シュモクザメ、クジラ。 Burney MS 97, f. 31v
逆さタコ:Burney MS 97, f. 40r
16世紀ギリシャ写本の1ページ、コウイカのイラスト。 Burney MS 97, f. 41v
そして、このブログの冒頭で紹介したテーマにきちんと戻ってきます。 今回の展覧会「ハリー・ポッター」の大前提です。 現実の世界には、私たちが正しく理解していないこと、あるいは知らないことがたくさんあるというのが、「ハリー・ポッター展:魔法の歴史」の大前提です。 数年前に学芸員が調査を始めたとき、2本の角を持つユニコーンと出会い、その旅が同時にこのような美しいイラストの原稿を紹介してくれるとは想像もつきませんでした。 ユニコーンの角は何本ですか?」と聞かれたときに、友人にも自慢できますよ。
ハリー・ポッター A History of Magic』は、2018年2月28日までロンドンの大英図書館で展示されています。