AM波形の復調方法
振幅変調された搬送波信号から元の情報を取り出す2つの回路について学びます
この時点で、変調とは、送信機から受信機に低周波の情報を伝えるために、意図的に正弦波を修正することだとわかっています。 また、搬送波に情報をエンコードするさまざまな方法(振幅、周波数、位相、アナログ、デジタルなど)に関する多くの詳細も説明しました。
しかし、受信信号からそのデータを抽出できなければ、送信信号にデータを統合する理由はありません。 復調回路は、修正されたピーク検出器のような単純なものから、デジタル信号プロセッサによって実行される高度なデコード アルゴリズムと組み合わせたコヒーレント直交ダウンコンバージョンのような複雑なものまであります。
AM変調のページでは、AM波形を生成するために4つのものが必要であることを確認しました。 まず、ベースバンド波形と搬送波が必要です。 次に、ベースバンド信号に適切なDCオフセットを付加する回路が必要です。 振幅変調に対応する数学的関係は、シフトしたベースバンド信号と搬送波を乗算することなので、最後に乗算器が必要です。
- V1は1MHzの正弦波電圧源で、元のベースバンド信号を供給します。
- V3はキャリア用の100MHz正弦波を生成します。
- オペアンプ回路はレベル・シフタ(入力振幅も半分にする)です。 V1から来る信号は-1Vから+1Vまで振れる正弦波で、オペアンプの出力は0Vから+1Vまで振れる正弦波です。
- B1は “任意動作電圧源 “です。 その「値」フィールドは定数ではなく数式で、この場合、数式はシフトしたベースバンド信号にキャリア波形を掛けたものです。 このように、B1 は振幅変調を行うために使用することができます。
ここに、シフトしたベースバンド信号があります:
そしてここに、AM 変動がベースバンド信号にどう対応しているかを見ることができます(つまり、, 青い波形にほとんど隠れているオレンジ色のトレース):
ズームすると、100 MHz キャリア周波数の個々のサイクルが明らかになります。
復調
AM 変調のページで述べたように、振幅変調を行うための乗算演算は、ベースバンドのスペクトルを正の搬送周波数 (+fC) と負の搬送周波数 (-fC) の周囲の帯域に転送する効果があります。 したがって、振幅変調は、元のスペクトルをfCだけ上に、fCだけ下にシフトさせるものと考えることができます。 ということは、変調された信号に搬送波周波数を乗じると、スペクトルは元の位置に戻ることになります。
Option 1: Multiplication and Filtering
次のLTspice回路図には、復調用の任意動作電圧源があり、B2はAM信号と搬送波を乗算しています。
そして、その結果がこちらです:
これは確かに正しく見えません。 拡大すると次のようになります:
そして、これで問題が明らかになりました。 振幅変調後のベースバンドスペクトルは、+fCを中心にしたスペクトルになります。 AM波形にキャリアを乗算すると、ベースバンドのスペクトルは0Hzまでシフトしますが、2fC(この場合は200MHz)までシフトします。これは(前述のように)乗算によって既存のスペクトルがfCだけ上に、fCだけ下に移動するからです。 必要なのは乗算とローパスフィルタで、フィルタは2fCにシフトアップされたスペクトルを抑圧するものです。 次の回路図は、カットオフ周波数が ~1.5 MHz の RC ローパス フィルタを含んでいます。
そしてこれが復調信号です。 これについては、この章の 5 ページ (直交復調を理解する) で詳しく説明します。
Option 2: Peak Detector
AM 波形(青)とシフトしたベースバンド波形(オレンジ)を示す上のプロットに見られるように、AM “envelope” の正の部分はベースバンド信号と一致しています。 エンベロープとは、搬送波の正弦波的な振幅の変化(波形の瞬時値の変化とは異なる)を意味します。 AMエンベロープの正の部分を何とか抽出できれば、乗算器を使わなくてもベースバンド信号を再現することができます。 まずピーク検出器から始めますが、これはダイオードにコンデンサをつけただけのものです。 ダイオードは、入力信号がコンデンサーの電圧より少なくとも 0.7 V 高いときに導通し、それ以外は開回路のように動作します。 現在の入力電圧がコンデンサ電圧より低い場合、逆バイアス・ダイオードが放電を防ぐため、コンデンサ電圧は低下しません。
しかしながら、ピーク電圧を長時間保持するようなピーク検出器は望んでいないのです。 その代わり、搬送波の高周波変動に対してはピークを保持し、エンベロープの低周波変動に対してはピークを保持しないような回路が必要です。 つまり、短時間だけピークを保持するピークディテクタが欲しいのです。 そのためには、コンデンサを放電させるための並列抵抗を追加します。 (このような回路をリーキーピークディテクタと呼びますが、リーキーとは抵抗による放電経路のことです)。
AM 復調のためのリーキー・ピーク・ディテクタの例を示します。 次のプロットは、リーク ピーク検出器で達成しようとしている一般的な結果を伝えています。
最終信号は、期待通りの充放電特性を示しています。