Acute pancreatitis and obstructive jaundice as initial complaints of hepatocellular carcinoma: 症例報告

9月 1, 2021
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2型糖尿病とB型肝炎ウイルス感染による二次性肝硬変を有する54歳男性が、2011年2月21日に腹痛のため中国江蘇省の揚州大学臨床医学院消化器科に入院した。 3日前から黄色い結膜と尿の既往があった。 2011年2月22日,腹部MRIおよびMRCP(Magnetic Resonance Cholangiopancreatography)により,総胆管最大径13mm,遠位部に結石を示唆する不均一な強度信号領域(図1A),および肝内胆管は正常であることが確認された. 十二指腸膨大部には軽度の閉塞を認め(図1B),肝硬変,脾臓の腫大を認めた. 定期検査では,血清中の直接ビリルビン(DBIL)(42.5 μmol/l,正常範囲 1.7 〜 7.8 μmol/l),総ビリルビン(TBIL) (62.7 μmol/l,正常範囲 5.8 μmol/l)が高値であることが判明した.7〜23.5μmol/l)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)(91U/l、正常範囲0〜50U/l)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)(206U/l、正常範囲0〜50U/l)及びCA19-9(821.03 U/ml、正常範囲<35 U/l)、血清中のアミラーゼ(62 U/l、正常範囲30~110 U/l)およびαフェトプロテイン(AFP)(6.17 ng/ml、正常範囲0~7 ng/ml)は正常、尿中のアミラーゼ値(326 U/l、正常範囲32~641 U/l)も正常であった。 2011年2月23日に内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)が施行され,処置報告書にはCBDからの泥状結石の摘出が記載されていた. EPBD施行8日後の血漿CA19-9値は469.56 U/ml,肝機能はDBIL 10.6 μmol/l,TBIL 16.4 μmol/l,AST 36 U/l,ALT(70 U/l)と改善されていた. 無症状時に他院で行われた経過観察のMRCPでは、結節性肝硬変、胆嚢の腫大、肝内・肝外胆管の軽度拡張、CBD結石と判断されるCBDの低信号の不整領域(図2)、肝左葉外側にT1強調画像で低輝度、T2強調画像でやや高輝度の境界不明瞭の直径1.1cmの腫瘤が認められたと報告された。 この肝腫瘤は良性の結節である可能性があり,経過観察が必要と考えられた. (A)短回転時間反転回復像、軽度の総胆管拡張を示す。 総胆管遠位部に異質なアイソインセンス領域(白矢印)が認められ、総胆管結石が示唆される。 (B)磁気共鳴胆管膵管撮影、十二指腸膨大部に軽度の閉塞を示す(短白矢印)。 総胆管と膵管はやや拡張していた(長白矢印)

図2
figure2

2011/4/25の磁気共鳴画像所見です。 磁気共鳴胆管膵管撮影、遠位胆管の明らかな拡張を伴う総胆管(白矢印)の不規則な低輝度域を示す。 Gは胆嚢、Lは肝臓。

この患者は5ヵ月後に膵炎が再発するまで再入院しなかった。 2011年9月21日にAPと閉塞性黄疸のため入院した。 入院時,腹部超音波検査で左葉に27×38 mmの不均質なエコー領域を有する肝硬変と,泥状結石を含む肥厚した凸凹の胆嚢を認めた。 CBDは拡張し(直径9〜16mm)、泥状結石と呼ばれるエコーが密集した斑点状の領域があり、左肝内胆管もやや拡張していた。 入院翌日の腹部MRIおよびMRCPでは,胆嚢炎,胆嚢結石,肝左葉に短転位逆回帰シーケンスで等濃度の辺縁不明瞭な腫瘤(図3A),結石を示唆するCBDの充填欠損(図3B),肝内外の胆管拡張,膵炎および肝硬変を認めた. 2011年10月5日,腹部CTにて肝左葉に27×38 mmの不規則で低密度の腫瘤と,濁った結石を伴うCBDの拡張を認めた. 造影CTでは肝腫瘤の不均一な増強と肝内胆管の拡張がみられた. CBD結石の造影濃度は動脈相と門脈相で同程度で15~22 Hounsfield units(HU)であった。

図3
図3

2011年9月21日の磁気共鳴画像所見である。 (A)短時間逆転画像で、肝左葉に不規則な等濃度腫瘤を認め、断端が不明瞭である(短白矢印)。 膵臓の周囲に膵炎を示す液体(白矢印)、肝内胆管の軽度拡張(長白矢印)を認める。 (B)画像(A)の面より遠位の短転位時間反転回復像で、等濃度充填欠損を伴う総胆管の拡張を認める(白矢印)

定期検査では血清アミラーゼ高値(1423U/l)、DBIL(136.1 μmol/l)、TBIL(141.2 μmol/l)、AST(223 U/l)、ALT(366 U/l)、CA19-9(2041 U/ml)、尿中アミラーゼ値(6826 U/l)、血清AFP値(6.36 ng/ml)が正常であることがわかった。 患者は急性心窩部痛,発熱,黄疸を呈した. 血清アミラーゼ高値と腹部CT所見からAPと診断した。

膵炎は重症ではなく,徐々に症状が改善したため,緊急の内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)は行わなかった. 膵炎が安定した後,2011年10月10日に外科的腹腔鏡検査が行われた。 B型肝炎ウイルス感染による肝硬変の既往があり,肝腫瘤は肝細胞癌である可能性が高いと考えられた. 肝腫瘤の性状を術中に診断し,胆嚢摘出術と胆管造影術を行う予定であった。 術中探索の結果,結節性肝硬変,浮腫性胆嚢,多数の泥状胆嚢結石,肝臓左葉に45×35×25 mmの非包囲型腫瘍を認めた。 CBD遠位部より灰白色軟性塞栓(45×11×9mm)を摘出し,左肝内胆管に灰白色腫瘍の残渣を認めた。 術中生検と凍結切片検査で,腫瘍 CBDE を伴う HCC と診断した. 左半月板切除術,胆嚢摘出術,胆管造影術が施行された. 術後病理検査にて肝左葉に中分化型HCCとCBDEを確認した. 術後13日目に血清CA19-9値は81.20 U/mlまで低下し,術後35日目に退院となった. その後、2012年2月12日に肝不全のため他院で死亡した

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