A loose sternotomy wire
49歳の日本人男性に、2000年12月12日、胸骨正中切開による成熟奇形腫の全摘出手術が施行された。 術後経過は順調で,術後胸部X線写真では胸骨閉鎖に使用した緩んだワイヤーループが側面視で背側に突出していた以外は正常所見を示した(図,下)。 12月24日、突然失神を起こし、循環不全、呼吸不全を発症した。 緊急胸部CTで心膜腔に大量の血栓と浸出液を認め、特に突出したワイヤーループの周囲に見られた(図、上)。 緊急再手術により、ワイヤーループは心膜を貫通し、大動脈基部の前壁を傷つけていることが判明した。 大動脈外膜には緩んだワイヤーループによる直径約2cmの擦過傷が認められました。 体外循環下で大動脈の擦過傷はフェルトストリップを用いたマットレス縫合により修復され、ラップされた。 患者は手術によく耐え、術後経過も問題なかった。 本例は,胸部外科医,心臓血管外科医にワイヤーを使用する際の潜在的リスクについて注意を喚起するものである
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