22.8: エノラートイオンの反応性
エノラートの一般反応
エノラートアニオンの負電荷はα炭素と酸素に非局在化しているので親電子はいずれの原子にも結合することができる。 反応部位が2つ以上あるものを両性体と呼ぶので、この言葉はエノラートアニオンに適用されるのが正しい。 ハロゲン化アルキルのような親電子性の弱い反応剤は、中性のエノール互変異性体と結合するほどの反応性はないが、エノール酸アニオン共役塩基の求核性の増大により、そのような反応が起こるようになる。 アルキル化は通常不可逆的であるため、その生成物は異なる求核部位の固有の(動力学的)反応性を反映するはずである。
エノラートアニオンの炭素原子でアルキル化物がSN2反応を起こす場合、生成物はアルキル化アルデヒドまたはケトンになる。 一方、酸素でSN2反応が起こると、生成物はエノール互変異性体のエーテル誘導体となる。このような化合物は酸の非存在下で安定であり、単離して特性評価を行うことができる。 このようなアルキル化反応(上図)は、通常のSN2反応に用いられる条件下では不可逆的であるため、生成物の組成から、炭素と酸素の置換率の相対的な尺度が得られるはずである。 この競合は、負電荷密度、溶媒和、陽イオン配位、生成物の安定性など、多くの要因に敏感であることが分かっている
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