酸化ニッケルの酸化と輸送特性
高純度ニッケルの酸化速度、酸化ニッケル中の不定比性、化学拡散を温度(1373-1673 K)と酸素圧力(10-105 Pa)の関数としてマイクロ熱重量法を用いて研究した。 低温でのスケール成長における粒界拡散の可能性を排除するため、酸化速度測定は常に粗粒スケールが形成される最高温度(1673K)で開始し、そのような予備酸化された試料の温度を段階的に下げることによって酸化速度の温度及び圧力依存性を決定した。 また、最高温度(1673K)でニッケルを完全酸化して得られた粗粒酸化物試料を用いて、Ni1-yOの不定比組成と化学拡散係数を決定した。 その結果、このような条件下でのニッケルの酸化は放物線状の速度則に厳密に従うことがわかり、この反応の放物線状の速度定数は温度と酸素圧の関数である:kp=0.142pO21/6exp(-(239kJ/mol)/RT)であることが判明した。 一方、不定比性測定の結果は、次の関係式で記述することができる。 y=0.153pO21/6exp(-(80kJ/mol)/RT). 最後に、Ni1-yO の化学拡散係数は酸素活量に依存せず、この酸化物中の点欠陥の移動度がその濃度に依存しないことを示し、以下の温度の関数であることが判明した。 D̃=0.186exp(-(152kJ/mol)/RT). また、不定比組成と化学拡散のデータから計算されたニッケル酸化の放物線速度定数は、実験的に決定されたkp値とよく一致することが示された。 これらの結果は、不定比性酸化ニッケル(Ni1-yO)の主な欠陥は二重イオン化した陽イオン空孔と電子正孔であり、ニッケル上の酸化スケールは陽イオンの外向き体積拡散により成長することを明確に示している
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